企業モラルと企業コンプライアンス
「企業倫理=企業モラル」とは「企業行動とそれを実現する企業内における人間の行動に関して、意思決定の根幹となるもの」であり、簡単に言うと、会社が社会的に守るべき道徳のことです。
「コンプライアンス」とは「法令を遵守する」という意味です。
過去には、コンプライアンス違反、企業犯罪とも呼べる事案が数多くありました。
脱税、粉飾決算、不適切会計、インサイダー取引、経営陣の私的流用、
見積り談合、利益供与、贈収賄、汚職・ヤミ献金、食品偽装、環境汚染など、
枚挙に暇がありません。
脱税や背任等の企業犯罪は、経営の上層部や特定部門が企てるケースが多く見られます。
トップの責任によって引き起こされた問題が、結果的には会社の存続を脅かす事態となり、真面目に仕事に取り組んでいた従業員が被害をこうむります。
しかも、こういった企業コンプライアンス違反は、知らない間にその片棒を担いでしまう危険性さえあります。
とはいえ一般的には、従業員レベルでは、長時間労働や残業代のカット等の被害者となるケースの方が多いでしょう。
企業モラル
企業モラルに優れた会社は、以下のような要件を備えた企業であると考えられます。
- 問題点があれば、直ちに対応する体制が確立されている
- 自社中心ではなく、常にお客様・相手先への気配りが出来る
- 組織が確立されていて、責任所在が明確である
- 自社都合ではなく、お客様・相手先の都合を最優先にして対応する能力がある
- 問題発生時には隠蔽することなく、全てをオープンにして対処することが出来る
企業モラルに優れた会社では、社内に独立した組織を持って、常にコンプライアンスやモラルに監視の目を光らせている企業や、外部組織による監察システムを確立している企業も数多くあります。
モチベーション
企業モラルに優れた会社では、働く側の意欲次第で社会貢献の度合いをより高めることが可能となります。
よく耳にする「モチベーション(motivation)」とは、「動機を与えること。動機づけ」といった意味です。
仕事に取り組む積極的な姿勢を引き出すのが、モチベーション・動機づけです。
マズローの欲求5段階説では、高次の欲求から並べると、
- 自己実現欲求 (Self-actualization)
- 尊重欲求 (Esteem)
- 社会的欲求(Social needs / Love and belonging)
- 安全欲求 (Safety needs)
- 生理的欲求 (Physiological needs)
となります。
ピラミッドの上2段階は「高次の欲求(内的に充たされたい)」、下3段は「低次の欲求(外的に充たされたい)」となり、二つに分かれます。
人間は低階層の欲求が充たされると、より高次の欲求を充たしたくなります。
「生理的欲求」は、生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、飲みたい、寝たいなど)です。
「安全欲求」は、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたい(雨風をしのぐ家・健康など)を指します。
「社会的欲求」は「帰属欲求」(集団に属したり、仲間が欲しくなったりすること)とも云われ、この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなります。
これらの低次の欲求が充たされたら、次第に「尊厳欲求(承認欲求)」(他者から認められたい、尊敬されたい)へと移行していきます。
そして、「尊厳欲求」が充されると、最後に「自己実現欲求」(自分の能力を引き出し創造的な活動がしたい)が生まれます。
従業員としては、ピラミッドの上2段階である「高次の欲求」の意志を持って、社会常識、知識・教養を身につけ、専門分野の知識・技能をより一層深める努力が求められます。
モチベーションを保つために
会社に入るまでは、「立派な社会人になろう!」、「誰にも負けないぐらい働こう!」と志を高く持っていても、いざ現実の波が襲ってくると、いつしかモチベーションが低下してしまいがちです。
努力してもあまり認めてもらえなかったり、頑張ったのに思うような成果が出なかったり。
そうして、気がつけばやる気がなくなっていたというのは、誰にも覚えのあるものだと思います。
ですが、やはりモチベーションを保っておくのは社会人にとってのみならず、今後の人生においても重要なことだと考えられます。
ここで一つ、参考になる考え方を紹介しましょう。
2017年2月にアメリカで発売された『The 5 Second Rule: Transform your life, work, and confidence with everyday courage(日々の勇気で、人生と仕事と自信を一変する5秒ルール)』という本があり、かなり話題になりました。
この本によると、人間は良いアイデアが閃いても、5秒後にはそれを実行に移すのを面倒に感じ、言い訳を考えるようになるというのです。
ごく簡単な例を挙げると、とある休日に「最近、運動不足だから散歩に出よう」と健康的なアイデアを思いついたとします。けれど、その5秒後には「でも、ちょっと寒そうだからやっぱりやめておこう」と、頭の中で言い訳を生み出してしまうのです。
では、これをどうすれば止められるのでしょうか。
答えは簡単です。何かやろうと思い付いたなら、心の中で5秒をカウントダウンするのです。
「5、4、3、2、1、ゼロ!」とカウントしたら、ゼロのタイミングですぐさま行動に移すと、モチベーションの低下が防げます。
実際に効果のある方法なので、仕事だけでなく日常生活にも取り入れてみて下さい。
必ず行動が変わるはずです。
モチベーションを持って働くか、無気力に働くか、ほんの気の持ちようだとしても、両者は大きく違いますし、毎日が充実するかどうかにも影響します。
企業モラル向上にも積極的に関与し、自己実現欲求のより高いレベルを求めて、絶えず自己研鑚に努める姿勢が大切です。『5秒ルール』を意識していれば、モチベーションが下がることもありません。有能な人は、おしなべてパワフルでモチベーションが高いものです。もしも、いつしかやる気が低下している自分に気付いたら、ここで得た知識を思い出して下さい。きっと前向きな自分を取り戻せます。